ここまでで、パイプライン、コントラクト、ナレッジグラフ、ヒント、アーカイブといった個々の要素を見てきました。ここでは、それらを素のAIチャットコンソールでの作業と並べて比較し、実用上の違いを具体的に示します。
AITM が素のコンソールより優れている理由
並べて比較
| 素のAIコンソール/チャットツール | AITM | |
|---|---|---|
| 複数ステップの実行 | まずプランを依頼し、次にそのプランを貼り付けてコードを依頼し、続いてレビューを依頼し、さらにレビューコメントを貼り付けて修正を依頼する。各ステップでコンテキストを自分で中継する | プラン → コード → レビュー → 修正 → テスト → マージの一連の流れが、ワンクリックで自動的に実行される。パイプラインを参照 |
| コードの分離 | 変更は通常、作業コピーに直接反映される。不適切な提案がメインブランチに触れるのを防ぐものは何もない | すべてのタスクが専用の Git ブランチと作業フォルダ(Worktree による分離)で実行される。作業中の内容が dev を壊すことはない |
| プロジェクトの記憶 | 新しい会話はそのたびにゼロから始まり、規約やアーキテクチャを毎回説明し直す必要がある | コントラクト、変数、ヒントは永続化され、タスクをまたいで蓄積される。ナレッジ共有を参照 |
| 品質ゲート | レビューやテストをするかどうかは自分で判断し、覚えておく。しないこともある | レビューと自動テスト(ユニット + E2E)が、何かがマージされる前に、すべてのタスクで自動的に実行される |
| マージ | チャットからコードをコピー&ペーストし、自分でコミットする | dev への自動マージ。2つの変更が衝突した場合は AI 支援によるコンフリクト解決 |
| 監査証跡 | 何を、なぜ依頼したかを思い出すには、チャットログが残っていれば、それをさかのぼる | すべてのタスクがアーカイブに、完全な結果、変更されたファイル、判定とともに恒久的に記録される |
| 並列作業 | 1つの会話で、一度に1つのタスク | 複数のプロジェクトが、1つのダッシュボードから並列にタスクを実行する |
| 停滞からの復旧 | アシスタントが静かになった、またはループしたことに自分で気づき、自分で再起動する | Watchdog が停滞したステップを検出し、自動的に再開する。パイプラインを参照 |
| チャットとエディタの間でのコードの移動 | 変更のたびに手動でコピー&ペースト | AI が分離された Worktree 内のファイルを直接編集する。コピー&ペーストするものは何もない |
根本的な違い
素のチャットツールは、設計上ステートレスです。新しい会話はそのたびに白紙のページであり、その時点で自分が指揮したことだけを正確に実行します。AITM は逆の発想で作られています。同じプロジェクトが長期にわたって多くのタスクを受けるという前提のもと、すべての依頼を初めてのものとして扱うのではなく、そのプロジェクトについて徐々に優れていくべきだという考え方です。
これらはいずれも、人間の判断に取って代わるものではありません。何を作るかを決め、返ってきたものをレビューし、失敗やコンフリクトのときに介入するのは、これまでどおりユーザーです。取り除かれるのは、ステップ間、会話間、そしてチャットとコードベースの間でコンテキストを移し替える、手作業の中継作業です。
ヒント
- Worktree による分離があるからこそ、自動化された複数ステップのパイプラインを、無人で安全に実行できます。
- 自動レビューと自動テストがあるからこそ、自動マージは無謀ではなく、信頼できるものになります。